【ダブル・レギュG】ディンレック
構築経緯
予選向きな構築とは
予選を勝ち抜く構築として、当たり前なことだがどんな相手にも安定して勝つことが求められる。例えば、単体技主体では択が生じやすく、命中不安技が軸では運負けしやすい。
つまり、命中安定な範囲技を使いながら、耐性持ちや耐性テラスには横や裏のポケモンで対応する構築が予選では強いと考えている。氷雪ビビルーはその例である(一撃デカウーラもまもるやリキキリンを無視して択を減らし、技を一貫させるという軸がある)。
?軸にするポケモン?
命中安定な範囲技を使えるパワーのある伝説として以下を考えた。ミライドンやテラパゴスは自分が求めるものとは異なるので入っていない。
これらを考えていくと、取り巻きが既存の構築に行き着きやすかったり、ミラーや相手の対策を考えたりする必要があり、構築の難易度が高く感じた。
一般枠を強く使う
今の環境では、浮いている強力なポケモンは限られており、じめんの一貫が比較的高いと感じた。じしんグラードンも強いと思うが、横に置いて強いポケモンが見つけられなかった。一般枠で調べた結果、ミライドンや黒バドレックスに強く、数値だけで見れば禁止伝説クラスであるディンルーを軸にすることにした。本来じしんを連発する構築はグラスフィールドが気になるが、ディンルー自身の型や伝説枠によって特に問題はなかった。
ディンルーの横に置くポケモン
先述の通り、浮いている強力なポケモンは限られているため、じしんを無効化できる伝説枠(浮いてるorテレパシー)を調べた。基本的にはディンルーにテラスタルを切りたい点やわざわいのうつわがある点から使える伝説枠は絞られ、レックウザを採用。
きあいのタスキとの相性が良いためディンルーにテラスタルを譲りやすい。また、ディンルーを強く使う点ではエアロックも強力な特性で、雨と晴れの火力を落とすという受けの恩恵が得られる。さらに、ひこう+じめんの技範囲を高火力で使うことができる。
タイプ上ウーラオスに対して強いところも評価が高かった。
攻めの恩恵①:対晴れ
一般枠で最も強いと思うウーラオスは、理由がない限り基本的には構築に入れたいと考えている。その中で、この構築ではレックウザがいることで相手の晴れを消すことができる。現在の晴れ構築はエアロック下ではタケルライコ(とコライドン)以外みずが一貫する傾向が高く、ウーラオスを自然に強く使うことができる。
攻めの恩恵②:対ペリッパー入り
エアロックは対晴れだけではなく、対雨にも有効である。特に、白バドレックスやザマゼンタ、ザシアンはペリッパー採用のケースもあり、くさテラスタルの場合にはほのお技を一貫させることも可能である。そのため、ほのお枠を採用したい気持ちが強かった。
最初は、ドラゴンテラスを考慮した上でレックウザのりゅうせいぐんを強く使えるイーユイを採用していた。
?基本選出とガオガエン対策?
先発ディンルー+レックウザ / 後発ウーラオスが強そうだと考えたが、相手に先に展開されて押し切られることが考えられるため、サポートが必要だった。サポートの中でもディンルーのじしんに巻き込める必要があったため、エルフーンを選択。
最初はウーラオスがおんみつマントではなく、ガオガエンを先発に出して欲しくなかったので氷雪ビビルーと同じ発想でコノヨザルを採用した。
そして、の形で試していたが、イーユイが相手にすべきザマゼンタや白バドレックスに勝てないこと、コノヨザルの役割が薄い一方でレギュGで選出誘導を使うほど余裕はないことが課題として挙がった。この原案から試行錯誤を進めた。
ほのお枠を採用理由にふさわしく
イーユイではテラスタルを切っても心許なかった白バドレックスやザマゼンタ、ザシアンに強いポケモンとしてウルガモスが適任だった。レックウザのりゅうせいぐんの火力は落ちるが、タイプが優秀であり、数値も高く、サポート性能も十分である。
サポートでじめん耐性/対ガエンサイクル
コノヨザルをいかく対策として使うことができない分、基本選出に含むサポートの中でいかく対策を組み込む必要があった。そんなポケモンはいないと思ったが、くろいきりヤミカラスが全て満たしてくれた。じめんは当然無効化でき、くろいきりはいかくに対しても、ガリョウテンセイやりゅうせいぐんで能力を下げたレックウザにも有効であり、ついでに黒馬寿司にも強い。どくテラスしたディンルーとの相性補完にも優れている。
補完
ここまで組んで、ウーラオスに晴れを一任したり、ウルガモスに白バドレックスやザマゼンタを一任するのは難しいことに気づいた。晴れ構築には必ずタケルライコが入っており、ディンルーがいない盤面で不利展開を強いられる。また、白バドレックスやザマゼンタには必ずウーラオスが入っており、ウルガモスの扱いが難しくなる。
これらを考えた結果、オーガポン(いどのめん)を採用することで、対晴れへの安定性向上、ウーラオスに対しての立ち回りやすさを手に入れた。キノコのほうしを吸えたり、じしんに巻き込めたり、みずタイプやテラスタル全般に強くなれたりと利点が多かった。
個別解説
ディンルー
テラスタイプ:どく
持ち物:こだわりハチマキ
性格:いじっぱり
努力値:H76 A236 S196
実数値:240-176-145-x-100-90
技構成:じしん/じだんだ/うっぷんばらし/テラバースト
特性:わざわいのうつわ
H:16n
A:11n
D:C187ミライドンのメガネフィールドりゅうせいぐん高乱数耐え(87.5%)
S:ガオガエン意識で早め
おいかぜ下最速111族抜き
この構築の本当の伝説枠。
テラスタイプは元の弱点に対して耐性を持たせることができる「どく」。レックウザのエアロックのおかげで雨や晴れによる火力バフが消えるため、単純に数値で戦うことができる。
持ち物は「こだわりハチマキ」であり、この構築のパワー不足を補っている。
技構成について、構築の軸である「じしん」、グラスフィールド下でも使えて、ねこだましを誘いやすいディンルーと相性がいい単体技の「じだんだ」をじめん技として採用。あく技には「うっぷんばらし」を採用することで、いかくを受けた際にも火力を出すことができる。そして、「テラバースト」が強力であり、現環境ではどくの一貫が高く、弱点を受けづらいテラスタイプであるフェアリーにも強い。ディンルーは最も強いどくタイプだと感じた。
レックウザ
テラスタイプ:ステラ
持ち物:きあいのタスキ
性格:さみしがり
努力値:A252 C12 S244
実数値:180-222-99-172-110-146
技構成:ガリョウテンセイ/りゅうせいぐん/しんそく/まもる
特性:エアロック
A:ガリョウテンセイ+しんそくのリーチを伸ばすために特化
D:災の器込みでC217黒バドレックスのダブルアストラルビット超高乱数2耐え(99.7%)
S:最速80族抜き
一般ポケモンを強く使う性能が高い伝説枠。雨と晴れのバフとデバフを消しながら単体性能が高い唯一無二のポケモン。
技構成はメインウェポンの「ガリョウテンセイ」、強力な先制技である「しんそく」、単純な読み合いやレックウザの温存のために重宝する「まもる」が確定。最後の枠には、ドラゴンテラスのザマゼンタの対策をはじめ、ドラゴンタイプへの打点として「りゅうせいぐん」を採用。数値を無駄なく使うことができている。
持ち物には「きあいのタスキ」を採用しており、ガリョウテンセイ+しんそくによって対面性能を高めている。わざわいのうつわとの相性が一見悪く見えるが、ガリョウテンセイを頻繁に使う都合上、割と発動する。
テラスタイプは「ステラ」。どの技も強化したい点やディンルーのじしんで巻き込まない点、きあいのタスキで行動保証がある点から相性がいい。他の選択肢としては、しんそくの火力を伸ばしながら黒バドレックス相手に強くなれるノーマルも一応存在する。
ウーラオスに有利でありながらSが負けているので、H種族値105とS種族値95が逆ならと無限に感じた。
ウーラオス(れんげきのかた)
テラスタイプ:くさ
持ち物:おんみつマント
性格:いじっぱり
努力値:H76 A236 B4 D28 S164
実数値:185-198-121-x-84-138
技構成:すいりゅうれんだ/インファイト/アクアジェット/みきり
特性:ふかしのこぶし
A:11n
B:B211ザマゼンタのB+1災いボディプレス最高乱数以外耐え
D:災の器込みでC217黒バドレックスの強化テラスダブルアストラルビット最高乱数以外耐え
S:準速85族抜き
SV最強の一般枠。エアロックとは攻めの相性が良い。
技構成はいつもの。これらを切ってまで欲しい技はなかった。
レックウザのきあいのタスキを評価していたため、ウーラオスには「しんぴのしずく」や「いのちのたま」を試した。しかし、ガエンゴリラやガエンロンゲがいるパターンの黒バドレックスがキツかったことから、「おんみつマント」を持たせてイージーウィンを狙えるようにした。
テラスタイプは「くさ」にしており、ゴリランダーやタケルライコへの耐性と粉技無効による勝ち筋を意識した。ひこうの一貫が気になることはあるが、粉技無効が大きい。
ウルガモス
テラスタイプ:みず
持ち物:ゴツゴツメット
性格:ずぶとい
努力値:H252 B220 C4 D4 S28
実数値:192-x-124-156-126-124
技構成:かえんほうしゃ/おにび/いかりのこな/まもる
特性:ほのおのからだ
B:A189パオジアンのじごくづき+B211ザマゼンタのB+1災いボディプレス高乱数耐え(92.6%)
S:最速60族抜き
白バドレックスやザマゼンタ、ザシアン相手に出すほのおタイプ。ぺリッパーの雨もエアロックで無視できるので、ほのお打点を確実に刺すことができる。
技構成は「いかりのこな」が確定。「まもる」は盤面を整える上でやはり強い。「おにび」はウルガモスの役割を考えたときに結局欲しくなったので採用。今回の予選でも2戦外して負けたので、予選では金輪際おにびは使わないと思う。
ほのお技には一般的には「ねっぷう」が採用されるが、外しやワイドガード、ダブル補正によって役割対象への遂行速度が落ちることを考えると採用したくはなかった。「ほのおのまい」もH振りザマゼンタを確定2発にできず、「オーバーヒート」は他のポケモンやみがわりに使うとザマゼンタへの遂行ができなくなるという欠点があった。これらを踏まえて安定した打点になる「かえんほうしゃ」を採用した。
持ち物には役割対象への強みを活かすために「ゴツゴツメット」を採用。この耐久ラインを実現するとCにほとんど振れないので、実質的に火力も上がっている。
テラスタイプは白バドレックスへの耐性を維持しながらウーラオスへの耐性を得たかったので無難な「みず」。
ヤミカラス
テラスタイプ:ゴースト
持ち物:しんかのきせき
性格:わんぱく
努力値:H252 A4 B220 D28 S4
実数値:167-106-99-x-66-112
技構成:ブレイブバード/くろいきり/さきおくり/おいかぜ
特性:いたずらごころ
B:11n,A154までのヘイラッシャのA+2ウェーブタックル確定耐え
A172パオジアンのアイススピナーは最高乱数以外耐え
D:C217黒バドレックスのC+1珠テラスダブルアストラルビット高乱数耐え(87.5%)
S:おいかぜ下で最速150族抜き
数値は正直足りていないが、唯一無二の悪戯心。タイプがどくディンルーとの補完に優れている。
技構成は採用理由である「おいかぜ」と「くろいきり」は確定。
「さきおくり」もおいかぜでは足りないディンルーのSを補う手段として重宝した。また、Sが勝っていればじんらいやグラススライダーなどの先制技も先送りにしてしまうことが可能。
攻撃技には「ブレイブバード」を採用。ヤミカラスの攻撃技として一般的な「イカサマ」については、本来イカサマを撃ちたい白バドレックス相手には選出せず、黒バドレックスに撃つ技としてもテラスタルを考慮すると強くない(あく打点を警戒させる点は強い)。それ以上にガエンゴリラサイクルやウーラオス、テラスタルした黒バドレックスにダメージを見込めるブレイブバードが強力。物理ひこう打点の強さはレックウザと同じ。最初は反動を嫌って「ドリルくちばし」にしていたが、火力が足りなかった。
テラスタイプは「ゴースト」。練習時点から一度もヤミカラスにテラスタルを切ったことがないが、ねこだまし盤面で勝ち筋を作れそうなので選択。
オーガポン(いどのめん)
テラスタイプ:みず
持ち物:いどのめん
性格:ようき
努力値:H212 A4 B100 D4 S188
数値:182-141-117-x-117-169
技構成:ツタこんぼう/ウッドハンマー/このゆびとまれ/ニードルガード
特性:ちょすい
B:A204カイリューの鉢巻災いテラスしんそく高乱数耐え(87.5%)
S:最速101族抜き
ウーラオスとは全く異なる強みを持つみずタイプで、対晴れ構築に対してはハバタクカミやタケルライコに弱点を突かれることなくエアロック下で暴れることができる。サポート性能も火力もあって強い。
技構成については基本的なものだが、くさ技には「ウッドハンマー」を採用。ウーラオスへの確定数だけでなく、ディンラッシャのヘイラッシャに対して、ウッドハンマー+ウーラオスのインファイトでオボンのみでなければ大体落とせる。
選出
あくまでも選出の例。ディンルー選出なしパターンやレックウザ後発パターンも柔軟にやっていたが、ここでは決めていたものを記載。
基本選出
先発:+
先発はこの構築の軸であり、後発はおいかぜやこのゆびとまれの必要性などを考えて出す。後発の組み合わせは以下を考えていた。
後発①:+
or
最もパワーが高い選出であり、おいかぜ下で火力を押し付ける。
ウーラオスの方がパワーはあるが、このゆびとまれを使いたい場合やくさ打点が欲しい場合にオーガポンと使い分ける。
後発②:+
or
白バドレックスやザマゼンタ、ザシアンに対して、ディンルーレックウザから入りたい場合の後発。ウーラオスとオーガポンの使い分けは大体上と同じ。
後発③:+
グラードン構築に主に出す後発(タケルライコが大体いるのでディンルーを先発に出したい)であり、エアロックを大事にすることやタケルライコを意識しながらみず技でゴリ押す。カイオーガに対してもヤミカラスがいらなければ選出。
対黒バド(withガエンゴリラ)
先発:+
後発:+
黒バドに限らず、おんみつマントでズルするときの先発。ウーラオス方向へのねこだましは美味しく、ディンルー方向もじだんだが次ターンに2倍になる。後発は黒バド相手はこの形になりやすいが、他の伝説枠の場合はヤミカラスが抜けることも多い。
対ディンラッシャ
先発:+
初見の相手はディンルー側がテラスタルを必ず切ってくれるので、ヘイラッシャを集中する。相手の後発は基本的に黒バドレックスか白バドレックスなので、残りの役割を考えて選出する。
戦績
全体戦績
PJCS2025予選第1回 最高最終1746.156 (26-9) 116位
伝説枠別戦績
伝説ポケモン | 戦績 |
---|---|
黒バドレックス | 5-4 |
白バドレックス | 5-1 |
ザマゼンタ | 4-0 |
テラパゴス | 3-1 |
グラードン | 3-0 |
カイオーガ | 2-1 |
ザシアン | 1-1 |
コライドン | 1-0 |
ルナアーラ | 1-0 |
オリジンギラティナ | 1-0 |
ムゲンダイナ | 0-1 |
ミライドン | 0-0-1(マッチ時点エラー) |
苦手な構築
レックウザ相手(一般的なパオレックのような並び)は切っていたレベルで無理。強気に立ち回る以外思いついていない。
ザマゼンタ(ドラゴンテラスみがわり)
ウルガモスがいかりのこなしかできず、レックウザのりゅうせいぐんも通りづらいので難しい。ウルガモスの頑張り次第。
伝説枠別戦績で記した黒バドレックスは噛み合いや運で負けが増えたので不利な印象はなし。
おわりに
既に全国/世界大会が開催されたレギュGにおいて、マイナー伝説のレックウザで新しい構築タイプを作り結果を残せたことを嬉しく思う(CTS BO1なので別ルールとも言えるが)。レックウザは他の伝説枠と比較してパワー不足であることは間違いないが、伝説枠によって一般枠を強く使うという目の付け所はレギュGにおいて大事になる気がする。
この構築そのものは記事公開後は賞味期限切れだと思うが、レックウザもメジャー伝説もマイナー伝説も一般枠も新しい構築や型が今後生まれることが楽しみである。