カステラのザラメ

あると嬉しいね

【ダブル・レギュC】氷雪ビビルー

(メインロムはパオジアンのアイススピナー→まもる)

構築経緯

じめんの一貫

構築を作るにあたって、環境におけるじめん技の一貫性に着目した。PJCS2023予選1回目のバトルデータでは、使用率10位以内のポケモンでじめん技に耐性があるのはカイリューだけなほどである。

じめんの一貫性を活かして戦うポケモンの中で、特に使用率が高いのはイダイナキバである。イダイナキバも強いが、特殊耐久の低さ故に活躍しづらい場面もあると考えていた。そこで、じめんタイプの一覧を見ていたところ、ディンルーのアタッカー運用に可能性を感じた。

ディンルーの相方  

アタッカーディンルーを使うにあたり、S操作としてトリックルームを使う構築について考察した。トリル要員について、ドータクンのようなポケモンを採用すると、トリル+アタッカーディンルーが比較的バレやすい。そこで、ハバタクカミによるトリル始動から最初の構築を組み始めた。しかし、トリルの始動が安定はせず、始動できても勝ち切るほどではなく安定性が欠けるように感じた。

トリックルームは微妙だと思い、軸にするためのディンルーと相性が良い浮いているポケモンを探していたところ、ビビヨンに目が留まった。ディンルーが他のじめんタイプに大きく勝っている点は耐久力である。ビビヨンであれば、フレンドガードのバフ+かふんだんごの回復という耐久力の底上げや、いかりのこなによる行動回数の増加が可能になる。ついでにディンルーが苦手なチオンジェンに対してタイプ一致で4倍弱点を突けるところも優秀である。

つまり、S操作をせずにビビヨンでサポートしながらディンルーが高火力を押し付け続けることを軸にした。

?こおり技+範囲技+先制技?

軸となるビビヨン+ディンルー(以下ビビルー)は、じしんを連打するという構築のコンセプト上、ひこうタイプやくさタイプが苦手である(それぞれのテラスタルも含む)。また、じしんで削った相手をどのように一掃するかが大事になる。

そこで、こおりタイプの中でも特に強く、先制技も強力なパオジアンと、上から範囲技を使えるハバタクカミを採用して構築を回していた。

ノオーツツミの採用 

ハバタクカミ+パオジアンを基本選出に加えて回していたが、2匹の耐久力のなさが気になった。ディンルーがこだわりハチマキを持っている関係上、こだわりを解除したい場面やじしんで巻き込みたい場面も発生してくるが、この2匹では不可能である。

範囲技の一覧を眺めていると、ふぶきとビビルーとの相性の良さに気づいた。ふぶきであれば、じしんに耐性がある、くさ・ひこうタイプに対して範囲技で大きな負荷をかけることが可能である。ふぶきを覚えるポケモンの中で最も強いのはテツノツツミだと思い、自然に採用。さらに、ふぶきを必中にするために、今作唯一のゆきふらしであるユキノオーを採用した。こおりのつぶてを覚えるため、火力は足りないが、最低限の仕事ができる。

また、ユキノオー+テツノツツミ(以下ノオーツツミ)は、じめんテラスしたディンルーが弱点とするくさ、みず、こおり技に対して耐性や雪下の高い耐久を活かした受け出しが可能なことも相性がよい。加えて、ユキノオーの物理耐久の高さとじめん耐性を活かして巻き込みじしんも可能になる。

選出誘導(初手ウインディの牽制)

ビビルーノオーツツミという基本選出は練習時にも強いと感じていたが、ディンルーが初手のウインディからいかくやおにびをもらうと動きづらいことに気づいた。ウインディぼうじんゴーグルの採用率も高いため、いかりのこなで吸うこともできない。

後発から出てくるウインディに関しては、死に出しであれば残数有利を築いており、交代際であればじしんで倒すことができる。そのため、初手のいかくを牽制する手段としてコノヨザルを採用した。

この構築はフェアリー・ほのお・はがね耐性が存在しない。それぞれマジカルシャイン・ねっぷう・ゴールドラッシュのような強力な範囲技が存在しているにも関わらず、耐性がゼロである。これによってコノヨザルのテラスタイプとしても使用率が高いほのおテラスを警戒させる。いかくに対してのまけんきに加えて、ほのおテラスを警戒させることで、まけんきが発動してもおにびを撃てばいいというような考えをなくし、ウインディを初手に出しにくいように誘導する。また、ビビヨン+コノヨザルを構築の一番上に配置することで、ノオーツツミかビビヨン+コノヨザルが軸のように見せていることも効果があったかもしれない。

また、構築を回していく過程で、ただの選出誘導枠だったコノヨザルに、重かった滅び対策としての価値と、構築的に処理が面倒なドータクン対策としての価値を見出した。

寿司対策

ノオーツツミは型によっては寿司にもそれなりに戦えると思うが、型の変更は基本選出に影響すると感じ、別の対策を用意することにした。選出誘導枠だったコノヨザルをきあいだめ型にしてみたり、のろい型にしてみたり試していたが、全くしっくりこなかった。

対策として一番わかりやすいくろいきりを覚えるポケモンの中で、パワーの高さからイルカマンとパオジアンが挙がった。しかし、構築コンセプト上、イルカマンをマイティフォルムにするのが難しく、ナイーブフォルムではパワー不足だった。

こおりタイプが3匹になることに対して懐疑的だったが、実際にパオジアンを採用してみると雪下の物理耐久が高く、寿司にもそこそこ安定することがわかり、構築を完成させた。

個別解説

ディンルー

テラスタイプ:じめん
持ち物:こだわりハチマキ

性格:いじっぱり
努力値:H164 A252 B4 D4 S84
実数値:251-178-146-x-101-76
技構成:じしん/じだんだ/じごくづき/いわなだれ
特性:わざわいのうつわ
B:フレンドガード下でA172パオジアンのわざわいアイススピナー超高乱数2耐え(98.4%)
 フレンドガード下でA204カイリューのわざわいこだわりハチマキテラスしんそく+A172パオジアンのわざわいアイススピナー確定耐え
D:じめんテラス+フレンドガード下でC205イーユイのわざわいダブルねっぷう+C187ハバタクカミのわざわいこだわりメガネテラスムーンフォースを2連最高乱数以外耐え
S:無振り55族抜き

フレンドガード下の耐久に加えて火力も高い。ビビルーで並べたときの特性と持ち物込みの実質的な数値は251-267-194-x-179-76。

技構成は、コンセプトである「じしん」と、味方を巻き込みたくないときに使える「じだんだ」は確定。残りの技には浮いている相手に使えるいわなだれとタイプ一致技として「じごくづき」を採用。じごくづきについては使用頻度は低く、条件付きで火力が出る「しっぺがえし」の方が強かったかもしれない。予選でもしっぺがえしなら勝てた試合があった。

持ち物は火力を出すための「こだわりハチマキ」。A-1でもテラスタルを切ればH振り程度のウインディは確定1発。

テラスタイプも火力を出すための「じめん」。火力増強かあくタイプを消すために初手テラスを切ることが多い。

ビビヨン

テラスタイプ:ゴースト
持ち物:きあいのタスキ
性格:おくびょう

努力値:B4 C252 S252
実数値:155-51-71-142-70-155
技構成:かふんだんご/いかりのこな/しんぴのまもり/まもる
特性:フレンドガード
C:チオンジェンへのダメージ意識でぶっぱ

じしん無効、フレンドガードによる耐久上昇、かふんだんごによる回復とくさタイプへの打点を持っておりディンルーとの相性が良い。

技構成について、攻撃技としても回復技としても使える「かふんだんご」、フレンドガードを継続させるための「まもる」、ディンルーが単体技を集中されて落とされることを防ぐための「いかりのこな」が確定。

残りの枠として最初は「おいかぜ」を使用しており、ディンルーがおいかぜ下で最速90族を抜けるようにしていた(実数値79)。しかし、おいかぜ下のSの上昇幅が79と小さく、抜ける対象はそれほど増加しない。一方で、じしんを耐えてくるポケモンとして特に厄介だったモロバレルに対して、バレない対策として「しんぴのまもり」を採用した。予選でもかなり刺さっていた。初手に出てきてしまったウインディに対してもSが勝っていることを祈りながら使う。

テラスタイプはねこだまししんそくを無効化する「ゴースト」。耐久の低さから半減では意味がないので、無効タイプが2つあるゴーストは優秀。選択肢として、かふんだんごの火力を上げるための「むし」もある。

テツノツツミ

テラスタイプ:こおり
持ち物:ブーストエナジー
性格:おくびょう
努力値:H44 B4 C196 D204 S60
実数値:137-76-135-169-106-180
技構成:ふぶき/ハイドロポンプ/オーロラベール/まもる
特性:クォークチャージ
B:A172パオジアンのわざわいせいなるつるぎ最高乱数耐え
C:なるべく高め
D:C187ハバタクカミのこだわりメガネテラスダブルマジカルシャイン高乱数耐え(87.5%)
S:最速111族抜き

じしんと相性の良いふぶきを高いSからタイプ一致で撃てるスイーパー。

持ち物を「ブーストエナジーにすることで耐久に努力値を割くことができ、柔軟な立ち回りが可能になる。基本的にはディンルーが荒らした後に出てくることになるので、耐久振りにして正解だったと思う(ブーストエナジーでSを上げるハバタクカミには抜かれるが)。

技構成として、採用理由である「ふぶき」は確定。残りの技について、ハイドロポンプはあまり撃ちたくないが、採用しないと勝てない場面も多い。オーロラベールは、ディンルーを温存できた場合に、ディンルーの行動回数を増やすことができる。「まもる」は読み合いを可能にする点はもちろん、ビビヨンが倒された後にテツノツツミから入ることになるが、雪がないとパワーが低いので、場を整えることができる。また、ディンルーのじしんを防ぐこともできる。

相手のみずタイプへの遂行速度を意識した「フリーズドライ」や、高いSから使うことで相手の行動を制限する「アンコール」も候補に挙がったが、上記の理由から他の技を優先した。

テラスタイプは雪の恩恵である物理耐久を下げずに火力を上げるための「こおり」。最後にスイープするのが一番の仕事なので、攻めのテラス。基本的にはディンルーにテラスタルを切るので、あまり使うことはない。

ユキノオー

テラスタイプ:みず
持ち物:いのちのたま
性格:ひかえめ
努力値:H188 B76 C140 D44 S60
数値:189-100-105-143-111-88
技構成:ふぶき/エナジーボール/こおりのつぶて/てだすけ
特性:ゆきふらし
H:10n-1
B:A204カイリューのひこうテラバースト(=壁下のこだわりハチマキテラバースト)を雪下で確定耐え
C:11n
D:C187ハバタクカミのテラスいのちのたまムーンフォース確定耐え
S:準速ヘイラッシャ抜き

唯一の「ゆきふらし」として採用。天候の仕様変更によって高い物理耐久を獲得し、独特な耐性を活かして活躍しやすくなったように感じる。

技構成は、強力なタイプ一致の範囲技である「ふぶき」、みずタイプへの打点であるエナジーボール、じしんで荒らした後にSが遅いユキノオーができる仕事として先制技のこおりのつぶてが確定。くさ技をギガドレインにした場合、相手のパオジアンをテツノツツミのふぶきと合わせて倒せなくなるのでエナジーボール一択。

最後の枠には、テツノツツミで縛れる範囲を広げるために「てだすけ」を選択した。ユキノオーは物理耐久の高さとじめん耐性から、じしんで巻き込んでも問題ないので、「まもる」がなくても十分だったと感じる。

テラスタイプは弱点のほのお・はがねに耐性があり、元のタイプと弱点が被らない「みず」。基本的に下から動くポケモンである上に火力を求めているわけではないので、受けのテラスとして行動を保証したい。

コノヨザル

テラスタイプ:ほのお
持ち物:ロゼルのみ
性格:いじっぱり
努力値:H236 A172 B44 D4 S52
実数値:215-172-106-x-111-117
技構成:ふんどのこぶし/インファイト/ゴーストダイブ/ちょうはつ
特性:まけんき
A:ふんどのこぶしで130-76ハバタクカミを確1
B:ほのおテラスでA233イルカマンの強化アイテムジェットパンチ確定耐え
D:C187ハバタクカミのこだわりメガネテラスムーンフォース確定耐え
 フレンドガードorわざわいのうつわ込みでC187ハバタクカミのこだわりメガネシャドーボール確定耐え
S:4振り95族抜き
ただの選出誘導枠だったが、滅び対策+重いドータクンやミミズズを処理するという役割が与えられた。そのため、技構成がかなり独特。

インファイトは火力が出るかくとう技として採用。ビルドアップを採用していないため、ドレインパンチでは火力不足である。ゴースト技はゴーストダイブ「ふんどのこぶし」の2つを採用している。「ふんどのこぶし」はスタックなしでも耐久無振りのハバタクカミを倒せる上に、スタックが溜まれば火力も出せる安定した打点である。「ゴーストダイブ」は選出の項目で具体的に説明するが、ゴチルゼルのまもるを破壊する手段である。

最初は、上記の技に「とんぼがえり」を加えた「とつげきチョッキ」型だった。しかし、構築的に重いドータクンの数が増加したように感じたため、「ちょうはつ」を採用。それに伴って、滅びパに必ず入っているハバタクカミとの対面で行動できるように「ロゼルのみ」を持たせた。

テラスタイプは構築的に一貫性が高いフェアリー・ほのお・はがねへの耐性があり、おにびを無効化できる「ほのお」。記述することが特にない無難な選択。

パオジアン

テラスタイプ:ほのお
持ち物:オボンのみ
性格:ようき
努力値:H236 A108 B92 D36 S36
実数値:185-154-112-x-90-176
技構成:アイススピナー/せいなるつるぎ/ふいうち/くろいきり(メインロムはアイススピナー→まもる)
特性:わざわいのつるぎ
B:雪下でA189パオジアンのせいなるつるぎ確定耐え
D:C205ハバタクカミのダブルマジカルシャイン確定耐え
S:+2準速ヘイラッシャ抜き

寿司対策として採用された3匹目のこおりタイプ。自分にはわざわいのつるぎが効かないため、雪下の物理耐久の高さを特に感じる。

技構成は、採用理由であるくろいきり、パオジアンミラーや対イーユイのためのせいなるつるぎ、特性込みで高い火力が出る先制技の「ふいうち」が確定。

最後の枠は、開催当日の午前8時まで悩んだ結果、「まもる」と「アイススピナー」をメインロムとサブロムでそれぞれ採用した。「まもる」は読み合いはもちろん、寿司に確実に役割を遂行するためにパオジアンが盤面に残っておく必要があるときに使える。「アイススピナー」は安定した打点である上、寿司での採用率が高いカイリューやフェアリーテラスしたハバタクカミへの打点になる。

持ち物は「オボンのみ」を採用。対寿司での行動回数を増やせる点と、雪下のパオジアンとのタイマンにおいて相互でのせいなるつるぎの後にふいうち択を押し付けることができる点を評価した。当初、持ち物は「オッカのみ」を持たせてイーユイとの対面で動けるようにしていたが、発動機会が少なかったため、オボンのみに変更。

物理に対しては雪の恩恵で行動可能だが、寿司によく採用されるイーユイやハバタクカミの前で行動できるように、テラスタイプは「ほのお」。あく技やゴースト技は元のタイプで半減できるため、この2匹のメインウェポンをほぼ確実に半減できる。

選出

あくまでも選出の例。
コノヨザルとパオジアンの選出機会は少ないが、下記以外でも出すことはある。

基本選出 

先発: + 

後発: + 

体感7割ぐらいこれ。ビビヨンでサポートしながらディンルーでじしんを連打。頃合いを見てノオーツツミを展開してふぶきを連打。

ドータクンやミミズズがいる場合にはコノヨザルの選出も検討。

対滅び

先発: + 

後発:自由( + 多め)

基本的には先発でハバタクカミとゴチルゼルが来るので、ゴチルゼル方向ゴーストダイブ+ハバタクカミ方向テラスじだんだを選択。初手はねこだまし+ほろびのうたが来るので、次のターンにゴーストダイブのまもる貫通+怯みによる2倍じだんだでゴチルゼルを倒してかげふみ解除。あとは流れ。

ゴチルゼルとハバタクカミが入っていても滅びが軸じゃないことはあるので、相手のパーティを見て決める。

対寿司

先発: + 

後発: + 

先発で寿司以外のポケモンを倒し、合体のタイミングでパオジアンとユキノオーを出したい。パオジアンは雪下で+2ウェーブタックルを確定で耐えるため(いのちのたまは乱数)、比較的安定してくろいきりが可能。

対ドレコー

先発: + 

後発: + 自由

ディンルー側からのユキノオー交代を警戒させてねむりごなを撃ちづらくして、まもる+じしん。コノヨザルをやるきにしたくなるマッチ。

対バンギルガン

先発?: + 

後発?: + 

ディンルーで一掃したいがいわなだれで怯むので厳しい。選出の正解が不明でコロコロ選出を変えていた。ふぶきでダメージを与えながら先制技でルガルガンを縛るのが丸い?

対ノオーツツミ

取り巻きも多様であるため、特に先発と後発は決まっていない。ディンルーでもふぶきを連打されるのは苦手なので、コノヨザルのほのおテラスや耐久振りパオジアンでうまく対応したい。

戦績

PJCS2023予選1回目

サブロム:最高最終1785.642 (29-8) 145位
メインロム:最高1777.656/最終1760.678 (33-12) 260位

おわりに

本戦があるにも関わらず構築を公開したのは、選出誘導によってウインディを牽制しているからである。今回の予選で対戦した人と本戦で当たって、一方的に情報を知られている場合、初手にウインディが選出され、不利な展開を強いられる可能性が大いに考えられた。

しかし、私はノオーツツミの採用+ウインディには選出誘導という手段を取ったが、ビビルー自体にはまだ考察の余地はあると思う。誰かに開拓して欲しい。