カステラのザラメ

あると嬉しいね

【ダブル・シリーズ8】カグヤオーガ

 

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構築経緯

f:id:sepal:20210415141615p:plain 環境考察f:id:sepal:20210415141558p:plain

4月上旬に行われたVR Circuitの優勝・準優勝構築であり、シーズン16のランクバトルでも結果を残している晴れ壁ザシアンが流行していたので、有利な構築を考えていったところ、テッカグヤが強そうだということに気づいた。ザシアンやフシギバナ、オーロンゲ、ランドロスといった晴れ壁ザシアンの主要なポケモンに有利であり、いわ技を採用すればリザードンにも弱くない。

ほのお抜群であるテッカグヤで晴れパを見るのは限界があるため、雨を降らせられる上にダイジェットと組み合わせて強力な制圧力を持つカイオーガを採用し、この2匹を軸にすることにした。

f:id:sepal:20210415141815p:plain 催眠対策と汎用性 f:id:sepal:20210415141824p:plain 

最近のフシギバナの採用率が高い技にねむりごながある。眠りによってダイマックスターンを消費することは対戦を不利にするため、催眠対策を考えることにした。

テッカグヤは浮いておりエレキフィールドミストフィールドの恩恵を受けられないので、催眠対策の候補としてスイートベール、しんぴのまもり、ラムのみが考えられる。しかし、フシギバナ入りの構築に対してスイートベールのポケモンを出したり、フシギバナと対面して最初にしんぴのまもりを選択する行動が正解だとは思えず、ラムのみを持たせることを考えた。

テッカグヤにラムのみを持たせると、主力となるダイマックスエースでありながら発動機会が限定的である上、いのちのたまやメテオビーム、じゃくてんほけんと比較すると火力が低くなってしまうことが気がかりであった。そこで、ラムのみの汎用性を上げる手段として、いばるを思いついた。

いばるを使うならばこうかくレンズを持たせて命中率を上げたい。相手のポケモンに倒される前にいばるをテッカグヤより先に使うことを考えると、きあいのタスキが持たせられない以上いたずらごころでいばるを覚えるポケモンが理想であった。

これを満たすポケモンにはトルネロスボルトロス、オーロンゲがいる。この中でもザシアンのきょじゅうざんやダイジェットに耐性があるボルトロスを選択することにした。

f:id:sepal:20210415142107p:plain でんきタイプ対策

軸となるテッカグヤカイオーガはでんきが一貫しているので、ひらいしんポケモンが必要だと感じた。

そこで、トリックルーム下で白バドレックスに大ダメージを与えられ、カイオーガが苦手とするゴリランダーに強いアローラガラガラを採用した。他のひらいしんポケモンよりも耐性が優秀であり、後出ししやすく腐りにくい点も優秀である。

f:id:sepal:20210415142132p:plain 補完 f:id:sepal:20210415142125p:plain

環境にいる伝説ポケモンで現状苦手そうなものとしてカイオーガと黒バドレックスがいる。また、多くの構築に入るウーラオスもS操作なしでは全員が上を取られていて厄介そうだと感じた。

そこで、ルンパッパとウーラオス(いちげきのかた)を採用した。

ルンパッパはカイオーガに非常に有利なポケモンであり、2匹目のダイマックスエースとなり得る。天候を雨にするだけでS操作を行うことができるので、ウーラオスや黒バドレックスを上から縛ることも可能である。さらに、この構築の軸はカグヤオーガだが、相手視点で軸はカイオーガとルンパッパの雨パであるという構築の誤認を誘うこともできる。

ウーラオスはまもるを貫通して高火力を出せる汎用性が高いあくタイプである。しかし、黒バドレックスに強いと思って採用したポケモンであるが、このポケモン1匹では黒バドレックス構築には勝てなかった。多くの黒バドレックス構築にはサイコメイカーのカプ・テテフやイエッサンが入っていてふいうちに耐性を持たせており、また、エルフーンの採用率も高くウーラオスが縛られてしまう。

この対策に頭を悩ませた結果、テッカグヤの技構成を変更することでウーラオスの対黒バドレックスの性能を上げることにした。

技構成等の変遷については個別解説で触れようと思う。

個別解説

f:id:sepal:20210415141558p:plainカイオーガ

持ち物:さざなみのおこう
性格:おくびょう
努力値:B188 C116 S204
実数値:175-x-134-185-160-149
技構成:しおふき/かみなり/ねっとう/まもる
特性:あめふらし
B:A194ゴリランダーのフィールドグラススライダー最高乱数以外耐え
C:持ち物込みでC222カイオーガと同等の火力
S:S+1で最速150族抜き

最強の雨始動要員。
でんじはやダイジェットでSを操作して戦うのが基本だが、種族値が高いのでタイマンでも普通に強い。

技構成は、命中安定の範囲技で最高火力が出せる「しおふき」カイオーガのHPを温存するための「まもる」は確定。残りの技にはカイオーガミラーを始めとしたみずタイプへの打点となる「かみなり」、威力命中安定の「ねっとう」を採用した。これらの技は運勝ちを狙うことができる技なので、上振れ要素として強い。れいとうビームが欲しいこともあるが、他の技の優先度の方が高いので今回は採用には至らなかった。

努力値について、ダイジェットを使う以上は最低でも最速150族を抜きたいのでS振りは確定。元々はCSで使っていたが、カイオーガは火力過多であり、さらに耐久無振りでは物理攻撃1発で倒されることも多い。そこで、Bに厚く振ることで霊獣ランドロスやウーラオスの前での行動を保証した。実際、行動回数が増えたりしおふきの火力を維持できたりと役立つ場面が多かった。

 

f:id:sepal:20210415141615p:plainテッカグヤ

持ち物:ラムのみ
性格:いじっぱり

努力値:H4 A252 S252
実数値:173-168-123-x-121-113
技構成:アイアンヘッド/そらをとぶ/いわなだれ/ワイドガード
特性:ビーストブースト
A:特化
D:雨下C161リザードンのいのちのたまキョダイゴクエン(150)確定耐え

S:準速,S+1で最速101族抜き

この構築のMVP。
晴れ壁ザシアンに対してかなり高い勝率を誇る。

威張ってダイマックスするだけでイージーウィンを狙うことができ、いばるを使用しなくても優秀なタイプとビーストブーストとダイジェットが強力。物理型にした都合でいかくの影響は受けるが、いばるやビーストブーストで火力を上げることができる上、そもそもいかくとして主流な霊獣ランドロスガオガエンにはカイオーガが強い。

また、相手のオーロンゲがひかりのかべやでんじはから入ってくることも多く、無償でダイスチルとビーストブーストによってAとBを上昇させることができた。

技構成について、メインウェポンであるアイアンヘッドリザードンボルトロスに対しての打点でありビーストブーストするときに強い範囲技のいわなだれが確定。ひこう技は非ダイマックス時にもすぐに高い火力を出せるアクロバットか、ダイジェットの威力が高いそらをとぶの選択。ダイマックス中に高い火力を出してビーストブーストしながら倒していき、ダイマックスが切れたときにはAが上がっていてアイアンヘッドいわなだれで押していけることが理想なのでそらをとぶとした。

ワイドガードの枠には最初「まもる」を採用していた。しかし、まもる以上にレジエレキのエレキネットやキツかった黒バドレックス構築のアストラルビットやワイドフォース、マジカルシャインを対策できるワイドガードが刺さりそうだと思い採用したところ、警戒されずに通ることが多かった。ワイドガードの採用により、本来勝つことができなかった構築にも勝つことができるようになった。

 

f:id:sepal:20210415141824p:plainボルトロス

持ち物:こうかくレンズ
性格:ずぶとい
努力値:H244 B156 D108
実数値:185-x-121-145-114-131
技構成:10まんボルト/いばる/でんじは/あまごい
特性:いたずらごころ
B:11n,A222ザシアンのA+1きょじゅうざん確定2耐え

この構築の初見殺しギミックのトリガー。
基本的にはテッカグヤと出して、いばるやでんじはを使用していく。その都合上、持ち物はいばるを93%、でんじはを99%の命中率まで上げられる「こうかくレンズ」で確定。

このポケモンの技構成は、でんき技/いばる/S操作技/自由枠となっている。

でんき技は、かみなり・10まんボルト・エレキネットが選択肢で最初は雨とこうかくレンズを活かせる「かみなり」としていた。しかし、晴れ下では命中率が55%となってしまうので、命中も威力も高い10まんボルトとした。

S操作技は、こわいかお・でんじはが選択肢。こわいかおは、じめんタイプやでんきタイプにも有効な点とラムのみやひらいしんによる妨害を受けない点、複数回かけることができる点が利点で、でんじはは、交代しても治らない点と運勝ちを狙うことができる点、クリアボディやメタルプロテクトにも有効な点が利点である。この構築では後発からカイオーガを出すことが多いので、交代されてもよい「でんじは」を選択した。いばるやアイアンヘッドいわなだれと組み合わせて上振れを期待できる点も強い。

自由枠は、あまごい・かいでんぱ・ちょうはつが候補。テッカグヤカイオーガ、ルンパッパとの相性の良さから「あまごい」を採用した。晴れに変えてくることを読んであまごいを使ってアドバンテージを取りにいくことが出来る。

 

f:id:sepal:20210415142107p:plainアローラガラガラ

持ち物:ふといほね
性格:のんき
努力値:H252 A4 B252 S個体値0
数値:167-101-178-x-100-45
技構成:フレアドライブ/シャドーボーン/サイドチェンジ/みきり
特性:ひらいしん
B:A182ウーラオスのあんこくきょうだ確定耐え
 ダイマックス時A238白バドレックスのA+2ダイアース(130)+A110ミミッキュのかげうち高乱数耐え(86.3%)
 A167ボルトロスのダイアーク(130)+A222ザシアンのA+1きょじゅうざん高乱数耐え(90.6%)
S:最遅

耐性優秀なひらいしん

Bに特化することで相手が倒せると想定していた様々な攻撃を耐えることができるようになる。過去のルールではHDガラガラがいたこともあるが、今の伝説戦ではトリックルーム運用でなければHBが強いように感じる。Sは白バドレックスにトリックルーム下で先に行動できるように最遅。

技構成は、ひらいしんを維持するための「みきり」が確定。ふういん持ちの黒バドレックスがたまにいるのでまもるより優先度が高い。

フレアドライブはB特化のガラガラがザシアンを一撃で倒す唯一の手段なので採用。HPが低いので反動がかなり大きく、雨下で威力が弱まることもあってメインウェポンでありながら使用頻度はそれほど高くない。

「シャドーボーン」は天候に関係なく安定して使える技として採用。ポルターガイストは持ち物を持っていないと失敗してしまう点が厳しい。

「サイドチェンジ」は鈍足なガラガラがサポートとして勝ち筋を増やすことができる技なので採用。Bに振っていることもあってサイドチェンジを使えるチャンスも多い。

 

f:id:sepal:20210415142132p:plainルンパッパ

持ち物:いのちのたま
性格:ひかえめ
努力値:B36 C252 S220
実数値:155-x-95-156-120-118
技構成:ハイドロポンプ/リーフストーム/だくりゅう/まもる
特性:すいすい
B:A182ウーラオスのあんこくきょうだ確定耐え
C:ダイソウゲンで207-160カイオーガを高乱数1発(81.2%)
S:雨下でS+1最速91族抜き

カイオーガ強い雨エース。
相手視点ではオーガルンパの並びに見えるかもしれないが、この構築の軸ではない。

リーフストームカイオーガを一撃で倒す手段として確定。みず技としては範囲技の「だくりゅう」、ダイストリームを威力140で使えるハイドロポンプが選択肢。

最初はだくりゅうだけを採用し、ハイドロポンプの枠にはカミツルギナットレイディアルガへの打点となりダイナックルとして味方の火力を上げる「きあいだま」を入れていた。しかし、耐久振りザシアンを低乱数ながら一撃で倒すことができるハイドロポンプが強そうであると感じた。だくりゅうを切るか検討したところ、範囲技は強力であること、きあいだまがピンポイント気味な技であることからきあいだまを切ることにした。

他にルンパッパが覚える強力な技にねこだましがあるが、きあいのタスキでもなくルンパッパはあまり耐久が高くないので「まもる」を優先した。

カイオーガ同様、最初はCSに振り切っていたが、A182ウーラオスのあんこくきょうだで3割の確率で倒されることに気づいたので少しだけBを上げた。いのちのたまのダメージはあるが、ウーラオスに対して1回動けるか動けないかの差は大きい。

 

f:id:sepal:20210415142125p:plainウーラオス(いちげきのかた)

持ち物:きあいのタスキ
性格:ようき
努力値:A252 B4 S252
実数値:175-182-121-x-80-163
技構成:あんこくきょうだ/インファイト/ふいうち/みきり
特性:ふかしのこぶし

今までのダブルバトルの常識を覆しているポケモン
お互いがダイマックスを使い終わった終盤に出して殴るのが強い。

ウーラオスダイマックスさせることはほとんどないが、カイオーガとの相性からダイアークでDを下げることができる通常個体推奨。

選出

あくまでも選出の例。

基本選出 

先発:f:id:sepal:20210415141615p:plain + f:id:sepal:20210415141824p:plain

後発:f:id:sepal:20210415141558p:plain + 自由

大体はこの選出。ザシアンやグラードンなど多くの構築にこの出し方をする。

ボルトロスででんじはやいばるをしながらテッカグヤダイマックスして殴っていく。状態異常技を持っていそうな場合(フシギバナモロバレル、オーロンゲ等)はいばるを使わず、状態異常の脅威がなくなってからいばるを使用する。

テッカグヤダイマックス中にボルトロスが倒されるか、交代する余裕があるときにはカイオーガやウーラオスを展開して圧をかけていく。

自由枠には、相手のパーティに火力のあるでんきタイプがいて他のポケモンにも役割が持てそうな場合にはガラガラを選出する。しかし、そのでんきタイプ以外に不利を取りそうであれば選出を控えることも考える必要がある。

でんきタイプがいない場合には、3匹の中から刺さりがよさそうなポケモンを選出する。

 

f:id:sepal:20210415141558p:plainカイオーガ

先発:f:id:sepal:20210415141615p:plain + f:id:sepal:20210415141824p:plain

後発:f:id:sepal:20210415142132p:plain + 自由

基本的には先発にトルネロスを出されることが多い。カイオーガが出ている場合にはワイドガードでしおふきを防ぐかダイマックスするか考えながら、でんじはを刺したり10まんボルトで削っていく。

トルネロスはルンパッパが苦手な相手なので早めに倒して、最後にルンパッパでカイオーガを倒すのが理想。

 

f:id:sepal:20210415190339p:plain対白バドレックス

先発:f:id:sepal:20210415141558p:plain + f:id:sepal:20210415141615p:plain

後発:f:id:sepal:20210415142107p:plain + f:id:sepal:20210415142125p:plain

先発に範囲技を使いながら白バドレックスへの交代を牽制し、トリックルームを決められたらガラガラを展開する。ダイマックスはテッカグヤかガラガラに切ることになるが、盤面次第。

 トリックルームが切れた後にはウーラオスで締める。ガラガラでダイマックスした場合にはダイホロウによってBが下がっているので特に強い動きになる。 

 

f:id:sepal:20210415190412p:plain対黒バドレックス

先発:f:id:sepal:20210415141615p:plain + f:id:sepal:20210415142125p:plain

後発:f:id:sepal:20210415141558p:plain + f:id:sepal:20210415142107p:plainorf:id:sepal:20210415142132p:plain

エルフーンカプ・テテフテッカグヤで倒しながらウーラオスを通していく。非ダイマックス状態のテッカグヤワイドガードを使ってアストラルビットやマジカルシャイン、エレキネットを防いでウーラオスの行動回数を増やすことが理想。相手のダイマックスが切れた状態であればワイドガードを無視する手段も減るので、より刺さりやすくなる。

でんきの一貫を切る必要がありそうならばガラガラ、そうでなければルンパッパを出して黒バドレックスを上から攻撃できるようにする。サイコフィールドがあるのでボルトロスを選出することは少ない。

苦手な構築

苦手な構築をいくつか記す。基本的に環境に多くない構築である。

f:id:sepal:20210415191258p:plainイベルタル

レジエレキと組んでいてダイマックスを切る型のイベルタルはかなり不利である。ひらいしんのガラガラがイベルタルの前に出せず、カイオーガや黒バドレックスと違って倒す手段も乏しい。

基本選出をすることが多く、ボルトロスのいばるとテッカグヤのダイジェットやダイロックでイベルタルを倒しにいく。1ターンでは倒せないが大ダメージを与えることができるので、そこからウーラオスカイオーガで頑張る。

実は、イベルタル+レジエレキを考えると、ボルトロス+ガラガラをオーロンゲ+ライチュウにすればそこそこ勝てるようになる。しかし、イベルタルは環境にそれほどおらず、耐性優秀なボルトロスと白バドレックスに強いガラガラを入れた方が構築としてまとまったため、対策を切ることにした。 

f:id:sepal:20210415191311p:plainゼクロム

でんき耐性が特性頼りのガラガラのみなのでテラボルテージで特性を無視しながら高火力のでんき技を使ってくるゼクロムは不利。のはずだが、カイオーガとルンパッパを先発に出してしおふき+ダイストリームで削りながら、ウーラオスの圏内に入れれば割と勝てる。 

f:id:sepal:20210415192927p:plainキングドラ

でんじはを刺してもテッカグヤより速く火力もある。パルキアと違って一般ポケモンなので、キングドラを倒すのに苦戦して伝説ポケモンがキツくなることもある。

ボルトロスででんじはを刺しながらテッカグヤでダイジェットをすることでSを逆転させ、次のターンにいばる+ダイジェットや死に出ししたウーラオスとのあんこくきょうだ+ダイジェットで倒す。

戦績

アズサさん(@initial_A_poke)が使用

PJCS2021予選 最高最終1764 (30-10) 40位

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おわりに

環境が整ってきたおかげでこの構築を組むことができた。しかし、物理テッカグヤのラムのみとワイドガード、サポートボルトロス、B特化ガラガラのサイドチェンジと知られているとアドバンテージを得られない点が多く、記事公開後の強さは保証できない。

インターネット予選だからこそ初見殺しと運要素という構築の強みを発揮して予選を抜けることができたのだと思う。